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妊娠は季節に影響されるのか?

 生まれ月を意識して,そこから逆算して子作りに励む時期を考えているという話を耳にすることがありますが,そんなにうまくいくはずはありません。出産に季節性があることは良く知られており,日本の人口動態統計では8~10月にかけて出生数が多いと報告されています。
今回ご紹介するボストン大学からの論文(Seasonal patterns in fecundability in North America and Denmark: a preconception cohort study. Human Reproduction 2020; 35: 565–572)は,これまで調べてこられた出産ではなく,妊娠の季節性を調べたものです。

 自然妊娠のみを対象として,北米(5,827例)とデンマーク(8,504例)で大規模な調査が行われました。その結果は,子作り開始時期の違いを考慮しても,9月~11月に妊娠する確率が高く,2月~4月には低い傾向があり,デンマークより北米のほうが季節の影響が大きいというものでした。
北米(米国,カナダ)では緯度による違いも比較されており,緯度が35度以下の地域(米国の南部)ではより季節性が強かったそうです。
妊娠に影響を与える因子として,精子の季節的な変化も気になるところですが,それについては精子数や精子濃度は夏に減少するという報告(Scand J Work Environ Health 1999; 25: 34-37)があります。
となると,妊娠の季節性は精液所見の季節的変化では説明がつきません。季節が妊孕性に影響を与えているのは間違いなく,米国とデンマークに違いがあり,さらに北米でも南部のほうに季節性が顕著なことから,気候が関係しているのかと考えられますが,結論を出すのは難しいと思います。

助川 玄
恵比寿つじクリニック

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