オミクロン株が急拡大して、新型コロナウイルスに感染するリスクはこれまで以上に高まっていますが、もし新型コロナにかかったら、治った後の子作りはどうすれば良いのか、そのヒントとなるデータが報告されました。
ベルギーで新型コロナウイルス感染から回復した男性について行われた調査です(Sperm quality and absence of SARS-CoV-2 RNA in semen after COVID-19 infection: a prospective、 observational study and validation of the SpermCOVID test。 Fertility and Sterility 2022; 117: 287-296)。120人(平均年齢35歳)について、発熱などの症状と治った後の精液中の新型コロナウイルス(RNA)、精液所見(精子数、精子運動率、精子形態、DNA損傷)、血液中の新型コロナウイルス抗体などを調べています。
感染治癒後の精液中に新型コロナウイルス(RNA)は検出されませんでした。精子の数が基準より少ない乏精子症であったのは、感染後1か月未満では37%、感染後1~2か月では29%、感染後2か月以上では6%でした。精子の動きが不良な精子無力症は、感染後1か月未満では60%、感染後1~2か月では37%、感染後2か月以上では28%で、精子の形が悪い奇形精子症はさらに高頻度にみられました。新型コロナウイルス感染による発熱などの症状と精子の状態には関連はありませんでしたが、血液中の抗コロナウイルス抗体と精液所見には強い相関がありました。
1.妊活のタイミングは月に1回しかありません。とくに奥さまの年齢が高ければ、ひと月ひと月が非常に大切です。コロナにかかったら、治療中は子作り中断ですし、治っても精子が悪くなっている可能性が高いです。だからまず新型コロナに感染しないのが第一で、色んな考えがあるとは思いますが、ワクチンは打たれたほうがいいでしょう。
2.万全の注意を払っても新型コロナにかかったら、まずはその治療に専念しなければなりませんが、発熱を抑えても精子の悪化を防ぐことはできないようです。
3.新型コロナ感染後は精子の状態が悪くなっている可能性が高く、それが回復するには3か月かかるようです。しかし、新型コロナ感染が治って1週間すれば精液中にウイルスはいませんから、性交渉により感染する可能性は低く、妊活は再開して良いと考えられます。
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