男性不妊の恵比寿つじクリニック
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第12回 糖尿病と男性不妊

 2017年の厚生労働省の発表によれば、わが国の糖尿病患者は1,000万人、糖尿病予備軍が1,000万人(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html)と推定されており、糖尿病は非常に身近な病気ですが、男性不妊に影響するということはまだまだ知られていないかもしれません。まず第一に、糖尿病がある人はもともと食生活の乱れや運動不足など生活習慣が偏りがちで、他の生活習慣病(肥満、高血圧、高脂血症など)を合併していることも多く、自覚のない身体コンディションの悪化が不妊のリスクとなっている可能性が考えられます。

 糖尿病では血液中の糖(血糖)が上昇しますが、それが何年間も続くと血管が傷ついて、色々な合併症を引き起こします。①目の網膜症、②神経の障害、③腎臓の障害が3大合併症ですが、神経の障害により勃起障害(ED)を生じてしまうことがあります。昔から言われる「糖尿病で勃たなくなって」というやつですね。また、括約筋のしまりが悪くなり、精液が前に飛ばずに膀胱にいってしまう「逆行性射精症」や、精液を押し出す力が弱ってしまい精液が出なくなることがあります(無精液症,乏精液症)。こういう状態になると、精巣(睾丸)のなかでは普通に精子が造られているのに不妊になってしまうわけです。

 ごく初期であれば生活習慣の改善や糖尿病治療の効果を期待できることもありますし、逆行性射精症に対するお薬もありますが、どうしても射精が難しい場合には最後の手段として精巣(睾丸)の中から精子を採ってこなければならなくなります。当院では糖尿病のある不妊患者さんへも、その段階に合わせて適切に対応し、治療を計画します。

 どうも最近精液の量が減ってきた気がするなど、もしかしたらと思われたら精液検査を受けてみることもおすすめします。

助川 玄
恵比寿つじクリニック

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