新型コロナ感染の後遺症としては味覚障害、嗅覚障害が良く知られていますが、精子やメンタルに対する悪影響もあります。さらに、ED(勃起障害)についてもその可能性が疑われていましたが、最近はっきりとしたデータが出てきました。
最初の論文は、新型コロナ感染時と退院後3カ月での勃起機能について調査したものです(Erectile Dysfunction After COVID-19 Recovery: A Follow-up Study. PLoS One 2022; 17: e0276429)。新型コロナに感染した153人について、当院でも使用している問診票(IIEF5)で勃起機能を評価した結果をみると、新型コロナ感染時にはEDの患者さんの割合は64.7%でしたが、新型コロナ感染から回復して3カ月すると50.3%に減っています。しかし、それでも一般男性におけるEDの割合(37.5–42.2%)に比べると高い結果です。統計処理すると、退院後3カ月してもEDが続くリスク因子は年齢(40歳以上)と新型コロナ感染で「うつ」になったことでした。
2つ目の論文は、健康な125人の男性医療従事者を、新型コロナ感染から6カ月未満、6~12カ月、12カ月以上、未感染の4グループに分け、勃起機能についてIIEF5問診票を使用して比較しています(Does Post-COVID-19 Erectile Dysfunction Improve Over Time? Journal of Clinical Medicine 2023; 12: 1241)。新型コロナ感染から6カ月未満、6~12カ月の男性は、未感染の男性に比べて勃起機能が不良ですが、感染から1年以上経つ男性と未感染男性は変わらないという結果です。
新型コロナに感染するとEDになることがあり、それは徐々に改善するものの、結構長い期間続くようです。これまでも何度も言っていますが、軽症化しているとはいえ、後遺症のことを考えると、新型コロナにはかからないように気をつけるべきです。
辻 祐治
恵比寿つじクリニック
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