精子を良くするために自分でやれることはないですか?と質問を受けることがあります。
タバコを吸わないことはもちろんですが(第8回コラム(2018-05-01)「子作りのスタートは禁煙から!」、最新ニュース(2021-07-22)「電子タバコも精子に悪い!」)、お酒はほどほどに、バランスの良い食事をとる、睾丸(精巣)を温めない、頻回に射精をとご説明しますが、運動(スポーツ)についてはどう思いますか?
激しい運動は男性ホルモン(テストステロン)が低下するので性機能に良くないことは知れられていましたが、運動の強度と精子の関係についてみた論文が米国生殖医学会雑誌に掲載されました(Intensity and type of physical activity and semen quality in healthy young men. Fertility and Sterility 2025; 123: 88-96)。
18歳から23歳の健康男子143人について、登録時とその4か月後、8か月後に、問診票(International Physical Activity Questionnaire)により評価された運動強度と精液検査での精子濃度、精子運動率、精子前進運動率、精子正常形態率の関係をみています。
専門的になり過ぎますのでデータの解析方法や詳細については省略しますが、結果として運動の強度と精子の運動率、正常形態率の間には逆U字型の関係があることが分かりました。
つまり中等度の運動のほうが軽い運動や激しい運動より精子の動きと形が良かったのです。
これまで言ってきた通り、子作りのためには適度な運動がすすめられますが、体をいじめるような強い運動は逆効果です。