男性不妊の都市伝説的なものとして、美術館の学芸員(作品の管理で殺虫剤を使う)やシステムエンジニア(電磁波を浴びる)の男性は子供ができにくいというのがありますが、携帯電話の電磁波が妊娠や精子に影響するとの説も聞こえてきます。
これまでのデータでは、携帯電話の使用が精液所見を悪くするのか、しないのかはっきりしませんでしたが、今回ご紹介する論文はデンマークの751人と北米の2、349人の男性について、携帯電話を入れている場所(ズボンの前ポケット、後ポケット、横ポケット、シャツのポケット、ベルトの携帯電話ホルダー)、入れている時間の長さと、精液所見、妊娠との関連を調査したものです(Male cellular telephone exposure、 fecundability、 and smen quality: results from two preconception cohort studies。 Human Reproduction 2021; 36: 1395-1404)。
携帯電話を入れている場所による違いは認められませんでした。
もっとも多かったズボンの前ポケットに入れている男性についてさらに調べていますが、結論から言うと携帯電話をポケットに入れている時間の長さと精液所見、fecundability(1周期あたりの妊娠率)に関連はありません。
ただ、BMIが25以下(普通~やせ型)の男性ではズボンの前ポケットに携帯電話を入れていることとfecundabilityの低下に関連がありました(入れている時間の長さは関係ないです)。
これまで携帯電話の精液所見への影響をみたデータはありましたが、妊娠についてまで検討した報告は初めてです。
スマホをポケットに入れていてもそう心配しなくて良いという結果で、少し安心できますね。
助川 玄
恵比寿つじクリニック
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