男性不妊の恵比寿つじクリニック
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「うつ」との違いに注意! 急増「男の更年期」は心・体・性に顕れるTHEMIS(テーミス) 2012.5掲載

「うつ」との違いに注意!急増「男の更年期」は心・体・性に顕れる
THEMIS(テーミス) 2012.5掲載

直接の死因にはならないが働き盛りの中高年男性を襲って生活の質を大きく下げる

「朝立ちする」と本当の悩みを

「毎週土曜日になると、私の薬局には『夜眠れなくて・・・』などと相談する中高年男性が多く来ます。ですが、治療を進めるうちに『朝立ちするようになりました!』と”本当の悩み”を話してくださるケースが増えてきました」

 こう話すのは、東京・亀戸で漢方を中心とした中国の伝統医療、「中医学」で男性更年期障害の相談を行う、松江堂薬局の松江和彦氏だ。

 これまで、中高年女性特有の病気として捉えてられてきた「更年期障害」が、中高年男性の間にも急増していることが、注目されている。

 男性更年期障害は勃起障害(ED)、性欲低下、射精障害といった「性」に関する機能障害が多いとされているが、実際にはストレスやうつ病などの因子が複雑に関係しているといわれる。そうした因子には筋肉量の低下や冬場のひどい発汗、胸がふっくらしてくるなど「体」の症状、やる気がなくなってとにかく疲れる、睡眠障害といった「心」の症状があり、それらが複合的に顕れる。

 こうした症状は50歳代を中心に40〜60歳代でも見られるが、その主な理由は加齢によって男性ホルモンの「テストステロン」の分泌が減ることで起こるものだ。

 この男性ホルモンの低下はLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれる。テストステロンはストレスによって脳が男性ホルモンを出さないように作用するため、男性更年期障害は真面目、神経質などストレスをためやすい性格、またノルマのある営業職、大金を扱う銀行員など緊張状態を強いられる職業の人に多いともいわれる。

 男性更年期はその主な原因が男性ホルモンの減少であり、症状も女性の更年期と似た部分が多いのにもかかわらず、これまでなぜ、それほど問題になることがなかったのか。

医療関係者がこう解説する。

「日本の医療界にはまだ、『男性にも更年期がある』という考えが浸透してない。そのため、病院でひとつの症状に関係する治療を受けても他の症状が治らない。中には更年期障害による不眠症で精神科に行ったのにうつ病と診断されたり、同様にEDで泌尿器科に行ってバイアグラ(ED治療薬)を処方されるということも現実に起こっている」

 男性の更年期障害は、それだけでは直接の死因になるようなことはない。だが、50歳代を中心とした働き盛りの中高年を襲って仕事に影響を与えるばかりか、生活の質を大きく低下させてしまう。また診断・治療の誤れば、長期間にわたって更年期障害の症状に苦しむことになり、そのストレスからうつ病を発症したり、うつ状態になる男性も増えているという。そのため男性更年期障害の早期発見は重要になっているのだ。

ホルモン補充療法が有効だが

 こうしたなか、「自分は更年期障害ではないか」と考える人に対する診断方法もある。主なものは二つあり、一つは自分で更年期障害の症状をアンケート形式のセルフチェックシートに記入する方法だ。これは「以前よりも汗をかく」「最近、いらいらする」「性欲がわかなくなった」などの項目を医療機関によって17〜20程度つくって答えてもらい、チェックの数で重要度を調べる。

 二つ目は男性ホルモンの量を調べる血液検査だ。日本泌尿器科学会などが定めたガイドラインの数値をもとにして男性ホルモンの量を調べ、数値が低ければ男性更年期障害の疑いがあることになる。

 東京・恵比寿の男性不妊治療・男性更年期治療専門クリニック、恵比寿つじクリニックの辻祐治院長が男性更年期について語る。

「男性の更年期というのは表現が難しい。当院をはじめ、泌尿器科外来では男性更年期障害の因子の一つであるLOH症候群かどうかを診断することができるが、外来を訪れる患者さんの中にうつ病が隠れていることも多く、その診断は慎重にしなければならない。例えば患者さんが精神的な症状を訴えた場合、泌尿器科ならLOH症候群と診断するものを、精神科ならうつ病、心療内科であれば慢性疲労症候群と診断されることも考えられる」

 中高年男性がうつ状態になった場合、「うつ病」を発症したケースと、「更年期障害の症状としてのうつ症状」とでは原因が異なるため、当然治療法も違ってくる。しかしこの二つは判断が難しく、先述のセルフチェックシートを使っても、うつ病患者も同様にチェック項目が多くなってしまう難しさがある。

 男性更年期障害の治療は一般的に、「ホルモン補充療法」が有効とされている。男性ホルモンを半年を目安にして、2〜4週間ごとに注射するものだ。早ければ3〜4か月で改善するケースもある。

 ホルモン補充療法はLOH症候群の治療法でもあり、その主要な症状である(1)性欲と勃起の質と頻度、(2)疲労感、抑うつや気分の変調、(3)睡眠障害、(4)筋肉量、筋力の低下。(5)体毛が薄くなる、睾丸が小さくなる、(6)骨粗しょう症など骨折のリスク増加などに有効とされる。

 一方で、前立腺がんの患者には男性ホルモンが悪影響を及ぼす可能性もあるため、注意が必要になるといった副作用もあるほか、赤血球が増加する多血症や前立腺肥大が起こる可能性もある。またホルモン補充療法で治る比率は現時点で50〜70%といわれ、医療機関によっては患者の30%近くがうつ病だったというケースも発生している。

まずは泌尿器科から受診する

 こうしたホルモン補充療法以外にも、漢方薬の処方や食生活をはじめとする生活を見直すことで症状が改善する場合もある。前出の松江氏も「中医学」によって男性更年期を乗り切るための体質改善を行っている。

「いま中国では男性に責任がある不妊症やED、そして男性更年期障害などを治療する”男科”が中医学のニューウェーブとして注目されています。男性更年期障害においては、患者さんの体質や生活環境を含めて総合的に助言しています」(松江氏)

 また生活習慣についても、暴飲暴食はもってのほか。ダイエットなどの絶食、偏食も避けるべきだ。また、運動不足や徹夜など睡眠不足もよくない。こうした生活改善だけでも、症状が軽くなることがある。

 前出の辻氏が、男性更年期障害の受診についてアドバイスする。

「日本ではまだ、精神科を受診するよりも、泌尿器科を受診する方がハードルは低い。男性更年期障害を疑った場合、まずは泌尿器科で男性ホルモンの分泌に問題がないことを確認してから、次は精神科に行くようにしてみてはどうか」

 男性更年期障害はまだ一般的ではないが、男性なら誰でもなる可能性がある。そのときに苦しい思いをしないために、いまから実態を知り注意することが重要になってくる。

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