男性不妊の恵比寿つじクリニック
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メディア紹介

2019年11月19日、東京新聞掲載「男性不妊 僕がパパになるまで4」

●2019年11月19日、東京新聞掲載

「男性不妊 僕がパパになるまで4」

東京新聞
2019年11月19日

〈前回までのあらすじ〉
 子どもができなかった記者の私(38)。3年間悩んだ末、不妊検査を受け、精子を作る機能が低下する男性不妊症の「精索静脈瘤」と診断された。「自分が原因だった」ショックや葛藤をへて臨んだ手術は成功。術後1カ月、妻(33)の妊娠が分かった。

~悩んだ分も大切に~
4.誕生
 2018年9月末に手術を受け、精子の質は劇的に改善した。術後3カ月たった19年1月の精液検査では、1ccあたりの精子数を示す「精子濃度」は術前の1100万から5倍増の5300万に。自然妊娠に必要とされる世界保健機関(WHO)の基準値の1500万以上を大幅に上回った。前に進む精子の割合を示す「前進精子率」も51%と、術前の19%から大幅に増えた。これもWHO基準値の32%以上を上回った。
 第1子となる長女は予定日より1日早い6月26日に生まれた。通常国会の閉会日と重なったが、休みを取って10時間に及ぶ出産に立ち会った。
 お産の痛みに耐える妻を見て、母の強さを知った。この日2度目の感動は、体重3106㌘の長女を抱っこした時に訪れた。軽くてか弱い。だけど寝息をたてて確かに生きている。「不妊で悩んだ分も大切に育てなきゃ」と心に誓った。
 生後1カ月から1カ月間は育児休業し、妻とともに育児と家事に奮闘した。昼夜問わず3時間おきにおっぱいを欲しがる長女に手を焼き、ストレスから夫婦げんかもした。ただ育休終盤には、私を見てニコッと笑うほど長女と信頼関係ができた。生後4カ月のいまは得意げに寝返りを打つなど成長。育児の喜びをかみしめている。
 男性不妊症の治療や支援態勢にはまだまだ課題が多いと感じている。
 経済的負担は大きかった。不妊検査費などを含めて夫婦で総額60万円かかった。手術だけでも27万円だ。
 私が受けた手術「顕微鏡下低位結紮術」は昨年4月から保険適用となり、患者負担が約8万円の病院もある。ただ、われわれ夫婦が選んだのは公的医療保険が使えない自由診療のクリニック。手術実績が豊富で信頼できそうな点や、仕事との両立などを考慮して自由診療を選んだ。
 個々の患者が費用などから最適な病院を選べれば良いと思うが、男性不妊向けの選択肢は多くない。日本生殖医学会がホームページで公開している男性不妊症の医療機関は全国で173カ所。関東・関西エリアで6割を占める。地方と都市部の医療格差は大きい。
 女性の不妊治療と比べ支援団体も少ない。医師や経験者に相談できる場や客観的な情報が得られるまとめサイトがあれば、救われる患者は多いはずだ。
 私は検査を受けた後、すぐ長女が生まれた。だが不妊治療を続けても望んで結果が得られない人たちもいる。治療を受ければ全て解決するような誤解を招くのではないか。この掲載を書く上で1番悩んだことだ。
 それでも書こうと決めたのは、不妊に悩む男性に1歩踏み出す勇気を、パートナーを不妊検査に誘えない女性にはこの連載をそっと渡してもらう。そんなふうに活用してもらえたらうれしい。(川田篤志)
=おわり

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