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精液で前立腺がん検診!

 前立腺がんの検診は血液検査(PSA)で実施されていますが、がんではないのにがん疑いと判定されることが多く,それにもかかわらずがんの見落としもあり、さらに治療が必要なたちの悪いがんと治療せずに経過をみて良いがんの区別がつかないなどの問題点が指摘されています。
 米国泌尿器科学会の機関誌Journal of Urologyに掲載された今回の論文は、精液を使った前立腺がん検診の可能性を報告したものです(Semen RNA-Based Biomarkers for Prostate Cancer Detection and Risk Stratification: A Prospective Multicenter Validation Study. J Urol 2026 doi: 10.1097/JU.0000000000005123)。
 精液の30%は前立腺からの分泌液とされており、前立腺に関する多くの情報が含まれているはずです。今回の検討では前立腺がんが疑われ、生検(針を刺して前立腺の一部を採ってきて、がんがないかを調べる検査)を予定されていた301人の男性に自宅で採取した精液を提出してもらい、そのなかのRNA(リボ核酸,遺伝子の活動を示す指標になります)を詳しく調べました。それをもとにAIにがん判定のプログラムを作成させ、別のグループでそのプログラムがどれくらい正確にがんを診断できるか検討しました。
 その結果は、感度(がんの人を正しくがんと診断できた%):92%,特異度(がんでない人を正しくがんでないと診断できた%):69%、高リスクがんに対する陰性的中率(がんでないと判定された場合に高リスクがんではない可能性):96%でした。
 すごくいい結果です。このプログラムで陰性と判定されれば、生検を受けなくていいことになります。この論文では、不必要な生検を60%~70%も減らせる可能性があると試算されました。
 PSAによる前立腺がん検診の有用性は以前から議論のあるところで、前立腺の生検はかなりきつい検査でリスクもあります。精液の処理など解決すべき問題は多く、実用化へのハードルは高いでしょうが、今後の研究の展開に期待したいです。

辻祐治
恵比寿つじクリニック

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