厚生労働省から昨年(2023年)の合計特殊出生率(15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの=日本人女性一人に対して、将来の日本人が何人になるかをみる指標)が過去最低の1.20になったことが発表されました(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai23/dl/gaikyouR5.pdf)。
若者の意識変化による晩婚化や妊活開始時期の遅れだけではなく、社会的要因(経済的な負担、仕事と育児の両立が難しい状況など)が現在の深刻な事態を招いているものと考えられますが、子作りのスタートが遅くなれば、必然的に体外受精や顕微授精などの生殖補助医療の必要性が増すことになり、経済的負担がさらに大きくなるという悪循環が生じてしまいます。
日本産科婦人科学会からの2022年の体外受精に関するデータ(https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf)によれば、生殖補助医療による出生児は77,206人となり、ついに生まれてきた赤ちゃんの10人に1人が体外受精児となりました(2021年は約11.61人に1人でした)。
これには、一昨年(2022年)4月から人工授精や体外受精/顕微授精などの生殖補助医療も保険診療の対象となった影響もあると推測されます。
このように、生殖補助医療による子作りはこれからますます増えていくでしょうが、健康保険の適応となる生殖補助医療には女性の年齢による制限があり、①治療開治時に43歳未満であること、②さらに治療開始年齢が40歳未満であれば通算6回まで、40歳以上43歳未満であれば通算3回までとなっています。
不妊の責任の半分は男性にもあります(https://e-dansei.com/)。限りある時間でお子さんを授かる希望を叶えるためには、男性側も同時並行で出来ることをやらねばなりません。
生殖補助医療を行うにあたっても、精子を改善することが成功率を向上させると考えられており、精液所見や精子の質を悪化させる精索静脈瘤が存在するのであれば、その治療が妊娠に結びつくと報告されています(Pregnancy After Varicocelectomy:Impact of Postoperative Motility and DFI.Urology 2013; 81: 760-766)。
生殖補助医療の時代に合わせて、当院では一人一人に最適かつ迅速な治療を提供しています。まずはとにかく精液検査を受けるところから始めましょう。
助川 玄
恵比寿つじクリニック