男性不妊の恵比寿つじクリニック
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男性不妊最新ニュース

抗うつ薬が精子DNAを損傷する!

インターネットのニュースで、SSRIという種類の抗うつ薬が精子へ悪影響をおよぼすと話題になっています。
http://www.newscientist.com/article.ns?id=mg19926754.500

SSRI(抗うつ薬)は日本でも一般的に使われており、非常に良いお薬です。ただ、私もこの薬を服用しておられる患者さんで二人ほど精液所見が不良なことがあり、薬を中止すると改善傾向になることを経験していましたので、このニュースもそういう話だと思っていました。

しかし、内容を読んでみるとコーネル大学で35人の健康な男性にSSRIであるパロキセチンを5週間服用してもらい、その前後で精子を調べたところDNAフラグメンテーション(DNAの損傷)の比率が13.8%から30.3%に上昇したという報告でした。DNAフラグメンテーション30.3%というのは結構悪い所見ですが、それより驚いたのは精子の数、運動率、形態は正常だったという結果です。つまり、一般的な精液検査ではSSRIの精子への悪影響を判断できないということになります。

男性不妊症でSSRIを服用しておられる患者さんについては、精液所見が正常でもDNAフラグメンテーションを調べなければならないのかと考えますが、一方でタバコの精子への傷害に比べれば大したことないとも思います。SSRIはとても良いお薬で、うつの治療のためにどうしても中止できない患者さんもいらっしゃいます。不妊症の治療のために、SSRIを中止するかの判断をするときには精子のDNAフラグメンテーションを調べるべきかもしれません。

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