通常の精液検査では精子が見当たらず、精液を濃縮(遠心分離)してやっとわずかに精子が見つかるという、極端に精子が少ない状態をcryptozoospermiaといいます。Cryptozoospermiaでは、精液中の精子を使った顕微授精は、睾丸(精巣)のなかの精子(精巣内精子)を使った場合より、成績が悪いとする報告があり、精巣内精子を採ってくる顕微鏡下精巣内精子回収術(microdissection TESE)が行われることもあります。精索静脈瘤手術により造精機能(精子を造る働き)が改善することは良く知られており、非閉塞性無精子症においても有用とされていますが、cryptozoospermiaの患者さんではどうなのかは検討されていませんでした。今回ご紹介するのは、Journal of Urology (米国泌尿器科学会機関誌)に掲載されたcryptozoospermiaの患者さんに対する顕微鏡下精索静脈瘤手術の治療効果をみた論文です(Semen Parameter Response to Varicocele Repair in Infertile Men With Cryptozoospermia. J Urol 2026;215:729-736)。
顕微鏡下精索静脈瘤手術を受け、手術後3か月と6か月で精液検査を施行したcryptozoospermia患者さん24人について、年齢、手術前の血清FSH値、精索静脈瘤のgradeと手術後の精液所見改善について調べています。患者さんの平均年齢は33歳で、血清FSH値の平均は9.9 IU/L。24人中の13人(54%)でcryptozoospermiaから重度乏精子症~正常まで精液所見が改善しました。精索静脈瘤を手術することにより、半数以上の患者さんが睾丸(精巣)を切らずに済み、患者さんによっては人工授精~自然妊娠が期待できるレベルまで改善したということです。実際に1組のご夫妻はタイミング法で妊娠・出産、4組は体外受精/顕微授精で妊娠・出産しました。残りの6組はその後の経過が不明でした。
手術後もcryptozoospermiaのままであった11人の患者さんのうち3人がmicrodissection TESEに進まれ、3人全員で精巣内精子が回収され、2組のご夫妻は妊娠、1組は出産まで確認されています。
年齢、FSH値、精索静脈瘤のgradeと手術の効果に関連を認めませんでした。また手術後3か月の精液所見と6か月後の所見に違いはありませんでした。
この論文のデータからは、cryptozoospermiaの患者さんは年齢、FSH値、精索静脈瘤のgradeに関係なく顕微鏡下精索静脈瘤手術を受けられるべきで、手術後3か月しても精子が増えないときはmicrodissection TESEによる精巣内精子回収を検討されるのが良いということになると考えられます。
恵比寿つじクリニックでは、①精液中に精子が見当たらないときは、遠心分離を行い精液中に1個も精子がいないのかを確認します、②医師が診察に合わせて行う超音波検査ではなく、学会認定の超音波検査士が超音波検査を施行し、精索静脈瘤の見落としはありません、③3,600件以上の顕微鏡下精索静脈瘤手術の経験があり、国際レベルでみても最も徹底した血管処理を行っています。もし、精子の状態が悪いと言われ、体外受精/顕微授精をしているが結果が出ないというときはぜひ当院にご相談ください。
2026-06-16
精子がほとんどいない状況でも精索静脈瘤手術は有効です
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