男性不妊の恵比寿つじクリニック
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凍結精子の保存期間は長くなっても問題ない

 医療の進歩により「がん」が治る病気となり,がんの治療だけを考えていた時代から,がんが治った後の生活を見据えて治療計画を立てなければならない時代になってきています.治療前や治療中はお子さんことなど考えられなかった方でも,がんが治った後には挙児を希望されるのはしごく当たり前であり,がんの治療に先立って将来の子作りのために精子を凍結,保存しておくことは非常に重要です.

 今回ご紹介するのは,長期間保存した凍結精子で人工授精や体外受精などをした場合に,妊娠などに影響するかということを検討した論文です(Long-term cryostorage of semen in a human sperm bank does not affect clinical outcomes. Fertility and Sterility 2019; 112: 663-669).

 これまで,長期保存した凍結精子での妊娠,出産は人工授精の28年間(Fertil Steril 2005; 84: 1017),体外受精の40年間(J Assist Reprod Genet 2013; 30: 743)などの報告がありましたが,長期保存した凍結精子を使用しても問題がないのかを大規模に調べたものはありませんでした.この論文では中国の精子バンクでの凍結精子119,558を保存期間により,半年から5年,6年から10年,11年から15年の3つのグループに分けて比較していますが,妊娠率,流産率,出産率に明らかな差はなかったとしています.

 きちんと精子を凍結,保存しておけば,それを使用するのにはタイムリミットはないということです.がんの診断を受けたときには,その治療だけでなく,精子の凍結についても主治医の先生にご相談になってください.

助川 玄
恵比寿つじクリニック

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