男性不妊の恵比寿つじクリニック
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メディア紹介

2020年3月3日、夕刊フジ掲載『ここまで進んだ 最新治療「男性不妊・無精子症の新しい診断法を開発」』

2020年3月3日、夕刊フジ掲載『ここまで進んだ 最新治療「男性不妊・無精子症の新しい診断法を開発」』

 男性不妊の原因となる「無精子症」。射精した精液中に精子がまったくない状態で、「閉塞性無精子症」と「非閉塞性無精子症」がある。閉塞性は精巣(睾丸)で精子は作られているが、精子の通り道の精路に異常があるために精子が出てこれない。非閉塞性は精路は正常だが、造精機能に異常があるために精子が作られない。
 精巣の中は、精子を生産する精細菅という管がいくつも集まってできている。無精子症の6割を占める非閉塞性では、精巣内から手術用顕微鏡を用いて精子の存在する精細菅を見つけ出す手術(マイクロTESE)が行われる。しかし、見つかる確率は30~40%。これまでどの部分の精細菅に精子がいるのか診断する方法がなかったのだ。

 それが今年1月、世界の生殖医学関連で最も権威のある米国生殖医学会雑誌に、新しい診断法の研究論文が掲載された。診断には超音波(エコー)検査の画像を用いるという。この診断法を開発した「恵比寿つじクリニック」(東京都渋谷区)の辻裕治院長が説明する。
 「精子は太さ250マイクロメートル以上の太い精細菅にいる可能性が高いのですが、通常のエコー画像ではそれが判別できません。しかし、その画像をパワーポイントに取り込んんで画像処理をすると、精子の存在する精細菅の部分が白くくっきりと浮かび上がるのです」
 パワーポイントとは、一般に使用されているパソコンのプレゼンテーションソフトのこと。そこに精巣のエコー画像を取り込み、コントラストを96%、明るさを50%に設定。そして明るさだけを30%まで下げると、精子のいる部分だけが白く残り、他の部分は黒く潰れた画像になるのだ。

 この方法を思いついたのは、40年も前にいまのように検査技術が進歩していなかった頃の経験がヒントになっている。当時は膀胱がんがどれくらいまで浸潤しているか、進達度を調べるのにエコーを使っていた時代があった。膀胱は筋肉でできていて超音波の反射が強いが、感度を下げていくと浸潤している部分が黒く抜ける。そのような原理を応用したという。
 「検証したのは非閉塞性無精子症の806例のデータです。その結果では、精細菅の太さが250マイクロメートル以下では約12%、250マイクロメートル以上では約63%の確率で精子を採取することができました」

 従来では片方の精巣から1時間くらいかけて精子を見つけ出し、見つからなければもう片方も調べる必要があった。しかし、新しい診断法で事前に予測できれば、効率よく精子を採取できるというわけだ。
 エコーを撮る検査技師の技量もある程度必要だが、既存のエコーとソフトで診断できるので、多くの診療現場で活用してもらいたいという。(新井貴)

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