男性不妊の恵比寿つじクリニック
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「精索静脈瘤にグレードは関係ない!」

 患者さんに精索静脈瘤がありますとご説明すると,グレードはどうなんですか?と質問されることが良くあります.インターネットで勉強されての知識なのでしょうが,当院では精索静脈瘤を見たり,触ったりで主観的にグレード分けしても,診察する医師によって差が大きすぎてまったく当てにならないので,超音波検査で客観的に評価しなければならないと考えています(https://e-dansei.com/diagnosis/varicocele).
 今回は以前にもご紹介した男性不妊で有名なベイラー医科大学からの論文(The Impact of Microsurgical Repair of Subclinical and Clinical Varicoceles on Total Motile Sperm Count: Is There a Difference? Urology 2018 ; 120 : 109-113)で,2009年から2017年にかけて顕微鏡下に精索静脈瘤手術を受けた190人の不妊男性について手術の効果をみています.
 総運動精子数(精液中の前進している精子の総数)を手術前後で比較すると,手術前に総運動精子数が500万未満だった男性の13%が手術後に500万-900万に増加し,38%では自然妊娠も期待できる900万以上にまで良くなっていました.手術前に総運動精子数が500万-900万だった男性では73%が手術後には900万以上になっており,やはり精索静脈瘤手術の治療効果は素晴らしいものでした.
 さてここからが本題ですが,この190人の患者さんのうち,144人は精索静脈瘤を触っていますが,46人は精索静脈瘤を触れておらず,超音波検査で静脈の太さが3mm以上で逆流があるということで手術になっています.そして,この二つのグループを比較してみると,精索静脈瘤手術による精子の改善に差はありませんでした. つまり,精索静脈瘤を触らなくても(グレード0!),超音波検査で精索静脈瘤があれば,手術で精液所見は改善するってことです.
 インターネットをみると精索静脈瘤を触らない場合には手術しないと書いてあるかもしれませんが,もともと触るとか,触らないとかいう診断は客観性に欠けます.超音波検査で精索静脈瘤がなくても,触ったらあると感じるかもしれません.だから当院では超音波検査で精索静脈を見て,手術をするか,しないかの判断をし,手術の後にもちゃんと手術できているか超音波検査で確認しています.精索静脈瘤手術の前後には必ず超音波検査をしなければなりません.ただまた別の問題として,男性不妊について正確な超音波検査ができるクリニックや病院は本当に少ないということがありますが.

助川玄
恵比寿つじクリニック

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