男性不妊の恵比寿つじクリニック
男性不妊の恵比寿つじクリニック
メディア紹介

日経新聞の取材を受けさせていただきました。ライフスタイル面掲載『男性にも不妊の知識を 「プレコンケア」広がる』

当クリニック副院長の助川が日経新聞取材を受けました。
(記事の掲載許可をいただいて掲載しております)

本誌の掲載は下記です。オンラインでも掲載されています。
・2025年12月23日5:00[会員限定記事]、日経新聞ライフスタイル面掲載『男性にも不妊の知識を 「プレコンケア」広がる』

生活習慣の悪さを医師に指摘され、1年半の不妊治療の末、子供をさずかった30代男性
将来の妊娠を見据えて性や妊娠に関する知識を身につける「プレコンセプションケア」が、男性にも広がってきた。不妊のうち半分は男性側にも原因があることが分かっているが、知識不足から男性が不妊リスクを高める生活をしてしまったり、治療が遅れたりすることが多い。生活習慣が不妊に影響することの啓発や精子検査などを提供する自治体や企業も増えてきた。

セミナーはカップルでの参加が増加
「お酒の飲み過ぎが精子に悪影響だとは知らなかった」。9月、都内で東京都が開いた「TOKYOプレコンゼミ」に夫婦で参加した男性(29)はこう話す。「これまで『子供は自然にできるだろう』くらいの気持ちだった。生活習慣が不妊に影響すると知ってお酒の量を減らそうと思った」という。
東京都は2023年度から、18〜39歳の男女を対象にしたTOKYOプレコンゼミを月に1度開催している。「男性も35歳を過ぎると精子の質が低下して不妊や赤ちゃんの健康に影響する」「適度な運動を」といった妊娠前から気を付けるべき事項についてわかりやすく説明する。

東京都は男性向けの解説動画なども配信している
ゼミの受講者は、女性の卵巣年齢の検査のほか、男性の精子の質を調べる精液検査や精巣のエコー検査も最大3万円の助成を受けられる。これまで延べ約8400人が参加し、女性が6割、男性が4割ほどだという。「カップルで参加する人が増えており、男性の割合も高まっている」(東京都)。申込数が増えているため、10月からは一講座の定員を550人から1050人に増やした。
男性が多い企業でも、プレコンセプションケアの動きが出てきている。大成建設は社員とそのパートナーに向け「プレコンセプションケアセミナー」を開催している。知識啓発のほか、希望者には卵巣年齢検査や精子濃度検査キットを支給する。
同社の人財いきいき推進室長の北迫泰行さんは「転勤が多いので早くからライフプランを描くためにも知識をつけておくことが大事」と導入の狙いを話す。妊娠や不妊の相談・支援を手掛けるファミワン(東京・渋谷)の石川勇介代表は「男性向けプレコンセプションケアの需要は高まっている。関連セミナーの導入企業も年3割ペースで増えている」という。

喫煙やAGA治療薬が悪影響
不妊症のうち半分は男性にも原因があるとされるが、女性と比べ男性は妊娠に関する知識が不足していることが多い。その結果、不妊リスクを高めたり、治療が遅れてしまったりすることがある。
都内に住む30代男性は、子どもを望み、夫婦で検査を受けた際に、精子の質の悪さが判明した。男性不妊の専門医に診てもらったところ「生活習慣の影響が大きいと言われた」。飲酒は毎日、たばこは1日1箱吸っていた。「精子に悪影響があるとは全く知らなかった。男性の不妊なんて他人事だと思っていた」
別の30代男性は、結婚して1年たっても妊娠に至らず不妊治療をはじめた。男性不妊の専門医から、使っていた男性型脱毛症(AGA)治療薬が精子に悪影響を与えていたことを指摘されて驚いたという。「不妊治療が必要になる前に知りたかった」と男性は振り返る。

男性不妊に詳しい恵比寿つじクリニック(東京・渋谷)の助川玄副院長(医師)は「喫煙や肥満、AGA治療薬の服用、サウナなどの精巣を温める行為は精子に悪影響を及ぼす。加齢とともに精子をつくる機能が低下することも分かっている」と説明する。
不妊を防ぐには妊娠前から男性も十分な知識をつけて、生活習慣を整える必要がある。パートナーの妊娠を望むのにかなわない場合には、男性も泌尿器科で診察と超音波(エコー)検査を受けることが望ましい。だが、日本の不妊治療は婦人科主導であることが多く、男性側の検査が手薄になりがちだ。
助川医師は「男性の治療が進まないまま、女性に負担が重い体外受精で解決させてしまうケースも多い。不妊の検査は男性の方が簡便なので、男性が自ら積極的に検査を受けてほしい」と呼びかける。

健康管理、女性に偏り
プレコンセプションケアは、2006年に米疾病対策センターが提唱し、12年に世界保健機関(WHO)が本格的に推奨した概念だ。妊娠前の男女に、性や妊娠に関する正しい知識をつけ、妊娠時期などのライフプランも考えた上で健康管理をすることを促す。

日本では21年に閣議決定した「成育医療等基本方針」で言及された。ただ、「妊娠するのは女性」という意識から男性向けのプレコンセプションケアは遅れてきた。ニッセイ基礎研究所の乾愛研究員は「自治体や企業の取り組みは女性に偏重している」と指摘する。

こども家庭庁が25年にまとめた「プレコンセプションケア推進5か年計画」では、重点的項目の1つに「妊娠は女性だけの問題ではなく、男性も主体的に関わるべきものであることについても周知する」と盛り込まれた。将来の自分、次世代の健康を守るためにも男女ともに正しい知識を身につけることが重要だ。

(金光由夏)

«

メディア紹介に戻る