男性不妊の恵比寿つじクリニック
男性不妊の恵比寿つじクリニック

精液検査について

男性不妊の検査や治療について不安を感じる方も多いかと思いますが、最初に強調しておきたいのは男性の不妊検査に身体的な苦痛を伴うものはないということです。
男性側の検査は精液検査からスタートします。まずここではその精液検査について解説していきます。

精液検査とは

精液検査

精液検査は男性不妊検査のファーストステップです。
出していただいた精液を顕微鏡で観察し、精子の数、動き、形から妊孕性(にんようせい:妊娠しやすさ)を評価しますが、精液検査だけで妊娠を予測することは出来ません。

精液とは
動物にみられるオスの生殖器官から分泌される液体である。人間の男性の場合、ほとんどは前立腺液や精嚢分泌液からなる精漿(せいしょう)であり、それに加えて受精に必要な精子を全体の1~5%ほど含む。
精液は液体成分の「精漿(せいしょう)」と細胞成分の「精子」で構成される。精液は、その3割程度が前立腺の分泌液(前立腺液)で、残りの7割程度が精嚢からの分泌液(精嚢分泌液)で、これらの混合物の中に精子が懸濁している状態である。
精液」(2023年2月21日 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』

精液検査を受けるべき理由

精液検査

昔から子供が出来ないと女性に責任が押し付けられてきましたが、現在では不妊の原因の50%近くは男性にもあることが分かっています。
不妊治療はご夫妻で力を合わせて行うものです。精子が改善すれば、奥様の治療はより軽いものになりますし、体外受精を行わねばならない状況でも、成功率が上がることにより奥様の負担を軽くでき、ひいてはそれは生まれてくるお子さんの健康へとつながります。

さらに、男性不妊症の裏に重大な病気が隠れていることがあります。良く知られているところでは、不妊症の男性は精巣腫瘍(睾丸の癌)にかかる率が高いです。精液検査の結果が男性の健康状態をあらわしているとも言えます。お子さんを希望されて、1年たっても妊娠の兆しがなければ(奥様が35歳以上なら半年で)精液検査を受けましょう。
最初に書きましたが、男性の不妊検査には痛いことや、つらいこと,苦しいことなどありませんので、奥様の不安を和らげるためにも、まずはご主人が精液検査を受けることをおすすめします。
 

不妊の定義
世界保健機関による定義は「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交しているのに12ヶ月以上にわたって妊娠に至れない状態」となっている。アメリカ生殖医学会も患者向けガイドラインの中で「1年以上」としており、さらに「もしあなたが35歳以上であるならば、6か月以上避妊せずに性交しても妊娠が起きなければ医学的な検査を始めるべきだ」と推奨している。
日本では妊孕能が正常なカップルでは妊娠を希望し、膣内射精を行った場合は、6か月以内に65%、1年で80%、2年で90%、3年で93%が妊娠に至るとされている。なお、両者妊娠適齢期で膣内射精しているのに不妊な場合において、男性側にのみ問題があるケースが約24%、女性側にのみ問題があるケースが41%、両性双方に問題があるケースが24%、原因不明な場合が11%あるとされている。
不妊」(2023年2月21日 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』

精液検査の項目

当院では、WHO(世界保健機関)精液検査ラボラトリーマニュアル第6版(2021年)に準拠して詳細な精液検査を行っています。
精液検査のWHO基準値は最低限のレベル(これ以上の数値がないと妊娠は難しい)を示したものです。

肉眼所見 正常は乳白色~白色です。血液が混じっていれば血精液、白血球が混じっていれば膿精液と診断されます。
精液量 重量法により測定します。精液量の基準値は1.4ml以上です。
pH 射精後1時間以内に、pH試験紙を用いて測定します。基準値は7.2以上です。
精子濃度 精子の動きを止めて、計算板を用いて精子数を算出します。精子濃度の基準値は1ml中1,600万個以上です。精子が見当たらない場合は、精液全量を遠心分離して、それでも精子がいないかを確認します。

精子濃度
精子濃度:正常
乏精子症
乏精子症
総精子数 精液量×精子濃度で算出します。基準値は3,900万以上です。
精子運動率 精液を400倍の顕微鏡下に観察し、前進運動精子、非前進運動精子、不動精子の割合を算出します。当クリニックでは、精子の運動性を前進運動精子(活発に直線的あるいは大きな円を描くように動いている精子)で評価しています。精子運動率(前進運動率)の基準値は30%以上です。
精子生存率 精子は動いていないと生きているのか、死んでいるのか分かりません。精子運動率が50%未満の場合は染色して生存率を調べます。精子生存率の基準値は54%以上です。
精子生存率
精子生存試験(エオジン染色法)
動いていない精子(不動精子)が生きているのか死んでいるのかを染色(エオジン染色)して判定する。精子膜にダメージを受けていれば精子頭部が赤く染色され死滅精子と判定する。不動精子でも頭部が赤く染まらない精子を生存精子と判定する。
精子正常形態率
(クルーガーテスト)
精子を染色して、Krugerらのstrict criteriaに準じて精子形態を分類します。精子正常形態率の基準値は4%以上です。

正常形態精子
正常形態精子

奇形精子1
精子形態異常例
1.頭部が大きい
2.頭部の形がいびつ
3.頭部の大きさが30%未満

奇形精子2
精子形態異常例
4.頭部がふたつ
5.尾部がまるまっている
6.先体がない

白血球数 炎症などにより精液中に白血球が混ざり、1ml中に100万個以上ある状態を膿精子症と呼びます。白血球の数が増えると精液内の精子の運動率を低下させます。基準値は1ml中に100万個以下です。
精子
1日に精巣で作られる精子の数は5000万 – 1億ほどである。精巣で作られた精子は精巣上体(副睾丸)まで運ばれ、成熟して射精を待つ。精巣上体では、最大10億ほどの精子が貯蔵できると考えられている。射精1回あたりの精液が含む精子数は個人差や体調面でのぶれも大きいが、通常1 – 4億ほどである。ヒトの場合は精原細胞から約70日間をかけて分化し、精子となる。通常の空間においては数時間程度で死滅するが、頸管内や子宮内、卵管内などでは精子に蓄えられているエネルギーにより、数日程度の生存が可能である。
精子」(2023年2月21日 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』

実際の精液検査の流れ

精液検査

当院は完全予約制です。まず、お電話:03-5768-7883予約フォームで受診日と時間をご予約ください。
お電話やフォーム入力の際に精液検査を受ける動機についてお伝えください。お電話で専門的なお話しやご質問がある場合は、お申し出いただければ、看護師が受付に替わってうかがいます。
予約フォームからのご予約には、折り返しこちらからご連絡差し上げます。
ご来院の際には、健康保険証、運転免許証、マイナンバーカード等の身分証明書をご持参ください。

検査前に問診票を記入していただきます。検査結果のご説明は医師が一対一でさせていただきます。

精液の採取は、精液採取室(プライバシーの保たれた防音室)にて、お渡しする容器にご自分で全量を出していただきますが、当院では2~3日間の禁欲期間での検査を推奨しています。
精液の所見は日によって大きく変動することがあるため、結果によっては再度の検査が必要な場合があります。
※禁欲期間:マスターベーションや性行為での射精からの日数
検査は、精液採取室に隣接した検査室で行うため、採取容器を搬送していただく必要はなく、精液が他人の目に触れることもありません。
検査結果がでるまでに1時間ほどかかりますので、その間は外出されてかまいません。

  • 精液採取室
    精液採取室
  • 検査室
    検査室

ブライダルチェック

ブライダルチェック

当院のブライダルチェックでは精液検査に加えてSTI(Sexually Transmitted Infections:性感染症)検査を行っています。
STI検査に含まれるのは下記の項目です。
・梅毒
・HIV感染症(エイズ)
・肝炎(B型、C型)
・クラミジア感染症(尿)
STIでは淋菌感染症も重要な項目ですが、男性の淋菌性尿道炎は症状(尿道の痛みや膿が出るなど)があり、ご自分で気づかれることが多いため、あえて項目には入れておりません。
他に淋菌、ウレアプラズマ、マイコプラズマなどの検査項目を追加したい場合はご相談ください。

精液検査の結果は約1時間後にお知らせできますが、STI検査は結果が出るまでに約1週間かかります。そのため、STI検査の結果は後日聞きに来ていただくことになります。精液を採取されたらそのままお帰りになり、STI検査の結果と一緒に精液検査の結果をお聞きになることも出来ます。

ブライダルチェック詳細 ≫

性感染症
性感染症(せいかんせんしょう、性行為感染症、性病、英: sexually transmitted infections: STI, sexually transmitted diseases: STD, venereal diseases: VD)とは、膣性交、肛門性交、口腔性交を含む性行為によって感染する感染症である。ほとんどの性感染症は感染初期に症状を示さない。そのため他の人へ感染させやすい。
症状と徴候として膣やペニスの分泌物、性器やその周辺に生じる潰瘍、下腹部痛などが含まれる。妊娠や出産に伴う感染では新生児の予後不良となりうる。また、不妊の原因となることもある。
性感染症」(2023年2月21日 UTCの版)『ウィキペディア日本語版』

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