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2018年5月17日、日刊ゲンダイ掲載、「子作り治療最前線〜ため込むより週1、2回は放出すべし〜」

●2018年5月17日、日刊ゲンダイ掲載

「子作り治療最前線〜ため込むより週1、2回は放出すべし〜」

 健常な夫婦が普通に性生活をしていれば、3ヶ月以内で約50%、6ヶ月以内で約70%、1年以内で90%近くが自然妊娠に至るとされる。女性の排卵は月1回しかないが、「普通の性生活」とは、どれくらいの頻度でセックスすることを指しているのか。男性不妊治療専門施設「恵比寿つじクリニック」(東京)の辻祐治院長が言う。

「基本週2回です。妊娠率は、排卵チェッカーやタイミング法などがなかった昔に比べれば上昇していますが、性交頻度と妊娠率が比例することには変わりはありません。子作りしてるといいながら性交渉は月1回というような、回数が足りない夫婦も多いです」

 しかし、今と昔で大きく違うのは「晩婚化」。女性は35歳くらいから加齢による卵子の質の低下で急激に妊娠しにくくなる。一方、男性の精子の質は一般的には40歳くらいから低下する。もともと精子を作る力が弱い男性だと、35歳くらいから精子の劣化が始まるという。女性が35歳以上の夫婦だとすると、男性の方が年上の場合が多いのでダブルで妊娠しにくくなるというわけだ。

 それと勘違いしやすいのは、1回のセックスで数多くの精子を子宮に送り込もうとして禁欲期間を長くしてしまうこと。子作りを考えているのなら、セックスをする、しないにかかわらず、最低でも週1、2回は射精して常に新鮮な精子を用意しておいた方がいいという。

「精子の数が多いほど妊娠しやすいと思うのは大きな間違いです。妊娠のカギを握るのは、どれだけ元気な精子がいるか。昔は勝手な思い込みで、精子の数が多い方がいいと思って1ヶ月もため込んで1発勝負という考えがありました。今でもそう思っている人がいるようですが、精子も在庫期間が長ければ古くなって元気がなくなります」

 精子の元気の良さとは、精子のしっぽの動きの良さのこと。通常、前進する精子が50%くらいいないと妊娠しにくいという。精子は季節や体調などにも影響を受けるが、禁欲期間を短くし、性交渉の回数を増やすのが子供を授かるための一番のポイントだ。
「患者さんの奥さんに『旦那に何を食べさせたらいいか』と、よく聞かれるのですが、精子も体の一部です。体にいいものをバランス良く取ればいいでしょう。ただし、肥満はホルモンバランスが崩れるので要注意です」

 精がつくとされる「マムシ」や「スッポン」などの効果は気分程度。しかし、セックスは脳でするものなので気分も大切という。


■大人になってからのおたふく風邪には要注意!

■大人になってからのおたふく風邪には要注意!

大人になって高熱を出すと子種がなくなるという都市伝説(?)がありますよね。確かに精子を作る細胞は熱に弱いので、(だから精索静脈瘤ではお腹から温かい血液が精巣(睾丸)に流れこんで、精子を作る働きが悪くなるのですが)、たとえばインフルエンザとかで高い熱を出すと精子を作る機能が低下することがありますが、それは一時的なもので、悪くなったとしても3-4ヵ月もすれば精子は元に戻ります。恐いのは、おたふく風邪にかかって、精巣(睾丸)が腫れたときです!

●ムンプス精巣炎

思春期以降におたふく風邪にかかると、おたふく風邪の原因であるムンプスウィルスが精巣に炎症を起こすことがあり(ムンプス精巣炎)、そのせいで精子を作る働き(造精機能)が低下し、最悪の場合は無精子症になることが知られています。ムンプス精巣炎にかかって精巣が腫れると、その数カ月から1年後に精巣が萎縮する可能性があり、両方の精巣が萎縮してしまうと無精子症になります(J Urol. 1991;146: 54)。

●ムンプス精巣炎後の精巣(睾丸)萎縮

ムンプス精巣炎にかかり数か月から1年の間に起こる精巣萎縮は、ムンプス精巣炎の最も重要な合併症です。高度な萎縮をきたすことはまれだとされていますが、時に萎縮に伴い無精子症になる可能性があります。

●両方か?片方か?

無精子症になる危険性が高いのはどのような状況かといいますと、両側の精巣がムンプス精巣炎に罹患した場合、もしくは片方の精巣を手術等で摘除して、精巣が一つしかない男性がムンプス精巣炎にかかった場合が考えられます。
ムンプス精巣炎は片方に起こることが多いのか、それとも両方に起こりやすいものなのかを、複数の研究報告から集計した609人の検討では、片方のみ精巣炎になったのが82%で、両方ともは18%であったと報告されており、ムンプス精巣炎は片側のみに起こることのほうが多いようです(Medicine. 2010; 89: 96)。
それでは、片側のムンプス精巣炎なら心配ないのかといいますと、片側のムンプス精巣炎であっても、反対側の精巣にも潜在的な影響を及ぼして、乏精子症(精子の数が減る)、精子無力症(精子の運動率が低くなる)になることがあるため注意が必要です。
また、両側のムンプス精巣炎であっても左右同時になるとは限らず、片方の精巣がムンプス精巣炎を起こした数日後に、もう片方も精巣炎になることもあるため、片側しか腫れていないといっても油断は禁物です。

●造精機能の経過

ムンプス精巣炎後に精液所見が悪くなった場合、もちろん炎症の程度によって異なりますが、数カ月から1年程度かかって改善してくることが多く、無精子症になってしまっても、しばらくして精液中に精子が確認できたとの報告があります。その一方で、12〜15か月後も80%では乏精子症、精子無力症の所見が継続していたとの報告もあり(Medicine. 2010; 89: 96)、決して楽観的にはなれません。

●ムンプス精巣炎後の無精子症

ムンプス精巣炎後に無精子症になり、残念ながらその後も精液中に精子が出てこない場合には、非閉塞性無精子症として精巣内からの精子回収(顕微鏡的精巣内精子回収術;microdissection TESE)を試みることになります。
ムンプス精巣炎後の無精子症では、他の原因の非閉塞性無精子症より精子の回収率が高く(Fertil Steril. 2007; 88:S391)、顕微授精で妊娠が期待できます(BJU Int. 1999; 83: 526)。
当院でもムンプス精巣炎後に無精子症になったと考えられた6人の患者さんでは、全例で精子を回収することができています。

●ムンプス精巣炎にかかったら急いで精子凍結を!

ムンプス精巣炎にかかると無精子症になるリスクがあることを考えると、ムンプス精巣炎になったら急いで精子を凍結することをおすすめします。ムンプス精巣炎に罹患直後はまだ精子は出ていますので、それを凍結しておけば、無精子症になったとしても精巣を切ること(顕微鏡的精巣内精子回収術;microdissection TESE)は回避できます。もし、造精機能が低下しなかったり、経過中に精液所見が回復してくれば、凍結精子を廃棄したらいいだけです。

●ムンプス精巣炎後の無精子症では精子回収の期待が高い!

不幸にも非閉塞性無精子症になってしまったとしても、ムンプス精巣炎後の造精機能障害であれば、顕微鏡的精巣内精子回収術(microdissection TESE)で精子回収が期待されますので、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいです。

●ムンプス精巣炎の予防にはワクチン接種を!

おたふく風邪にかかるとムンプス精巣炎以外に無菌性髄膜炎や難聴を起こすことがあります。おたふく風邪の予防にはムンプスワクチンの接種が最も有効です。以前は「おたふく風邪、はしか、風疹の混合ワクチン」が定期接種されていましたが、ムンプスワクチンについては無菌性髄膜炎を起こすことがあるとして外されてしまいました。しかし、その後の調べでワクチンを接種したことで無菌性髄膜炎を起こす頻度より、おたふく風邪にかかって無菌性髄膜炎になることのほうがはるかに多いことが分かっています。
無精子症にしろ、難聴にしろ、おたふく風邪の後遺症は非常に恐いものです。日本ではムンプスワクチンの接種率が低いため、他の先進国と比較しておたふく風邪が多いという問題が起こっています。今まさに子作りを考えている男性も、ムンプスワクチンは接種するべきと考えます。

                              天神つじクリニック 副院長 庄 武彦

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ブライダルチェックについて

ブライダルチェックについて

ブライダルチェックは精液検査(精子検査)の他に STD検査を追加した検査です。

STDとは、「Sexually Transmitted Diseases」(性感染症)の頭文字を取った名称です。主なものに下記があります。

クラミジア感染症
梅毒
HIV感染症(エイズ)
B,C型肝炎
淋菌性尿道炎
腟トリコモナス症
性器カンジダ症
性器ヘルペス
尖圭コンジローマ(ヒトパピローマウイルス)
軟性下疳(なんせいげかん)

当クリニックのブライダルチェックでは、上記STDのうち、クラミジア感染症、梅毒、HIV感染症(エイズ)、肝炎(B型、C型)についての検査を行います。男性不妊治療では淋菌性尿道炎も重要な項目ですが、淋菌性尿道炎は症状(尿道の痛みや膿が出るなど)があるため、あえて項目には入れていません。
他にSTD検査項目を増やす場合はクリニックにご相談ください。

検査費用は精液検査(精子検査)とSTD検査(クラミジア感染症、梅毒、HIV感染症(エイズ)、肝炎(B型、C型))で32,400円です。淋菌も調べたい場合は追加検査できます。費用はプラス5,400円となります。

精液検査(精子検査)の内容と説明はこちらから

STD(性感染症)についてはこちらもご参照ください。


マスターベーションと射精障害

■マスターベーションと射精障害

〜マスターベーションと膣内射精障害の関係〜

マスターベーションでは射精できるのだが、性交渉になると勃起はするのだが、どうしても膣内で射精ができないということでお困りになり、不妊外来を受診される方がいらっしゃる。外来でこれまでの経緯を詳しく聞かせていただくと、思春期からのマスターベーションの方法に問題を抱えている方がよく見受けられる。報告では射精障害のうちで、マスターベーションでは射精に至るが、膣内では射精できない膣内射精障害の割合は37%程度とされており、その膣内射精障害のうち、マスターベーションの方法に原因がある場合が50%弱もあり、もっとも多いと報告されている。子作りを開始されたことをきっかけに膣内で射精できないことをどうにかしなければとお考えになり、当院を受診される方が、これだけ多くいらっしゃると考えると、膣内射精障害で悩んでいらっしゃる方はもっとたくさんいるのではないだろうかと思われる。子作りという状況では、ご夫婦ともに積極的に治療に進まれるが、男性個人ではなかなか言い出しづらいものでもあり、そのまま年月を経てしまうことが多いかもしれない。

マスターベーションの方法というものは、当然ではあるが、思春期に学校の授業で習っていくものでもなく、友人などとの話の上やビデオなどの視覚などを通して、自然と身に着けていくものであろう。この過程において、誤って陰茎を強く握ったり、床に擦りつけたりすることで射精することに慣れてしまうと、(当然)他の人と比較することもなく、それがマスターベーションの方法として誤って固定されてしまい、通常の刺激や膣内の刺激では射精に至らなくなってしまうことがある。膣内射精障害の治療としては、正しいマスターベーションの方法を指導することやTENGAなどの使用をすることが一般的であるが、治療には時間がかかることも多く、なかなか難治性である。
晩婚化の進む現代において、子作りの時点で、精液所見などには問題ないのに、膣内射精ができないことで、人工授精などに進まなければいけなくなる状況に陥ることなどを考えると、予防的に正しいマスターベーションを教育していく必要性があると考える。日本の性教育において、性交渉に関しての教育にはさまざまな議論もあるところであるが、正しいマスターベーションの方法について、思春期にしっかり教育することは、ゆくゆくの子作りも視野に入れ、必要なものであろう。学校などでの男児に対する指導やカウンセリングの啓蒙が、これからの少子化の改善に少しは寄与できるのではないかと考える。

                              恵比寿つじクリニック 副院長 助川 玄

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